「ノートPCを閉じても走り続ける」──DevDay 2026でCodexが常駐開発基盤に変わり、GPT-6.1 Solが値札を5分の1にした
DevDay 2026でCodexが端末をまたぐ常駐開発基盤に刷新。音声と/agentsの並列作業、自動コードレビュー、Codex Security Cloudを追加し、GPT-6.1 Solが単価を約5分の1、Ultrafastが毎秒約300トークンへ。
OpenAIが日本時間9月30日に開いた年次開発者会議「DevDay 2026」では、20件を超える発表が並びました。その中心にあったのは、コーディングエージェント「Codex」を単体のコマンドライン道具から、端末をまたいで走り続ける開発基盤へと作り替える一連の更新です。同時に投入された新モデル「GPT-6.1 Sol」と高速ティア「Ultrafast」が、その基盤を安く速く回す下地になっています。本稿では開発現場に効く部分だけを取り出して整理します。
手元の端末を離れても止まらない作業場
Codexは、依存関係・設定・権限をまとめた開発環境を「再利用できるクラウド環境」として保存できるようになりました。要点はこうです。
- 端末をまたいで継続: PCで始めたタスクは、ノートPCを閉じてもクラウド側で走り続け、スマートフォンなど別の端末から様子を確認・操作できます。
- チームで共有: 設定と権限を標準化した環境をチームで共有でき、Plus / Pro / Business / Enterprise / Edu などのプランで使えます。
「まず手元にリポジトリを用意し、環境を組んでから作業する」という前提が薄れ、作業状態そのものがクラウドに置かれる方向です。
CLIは「声で指す」「複数を束ねる」へ
日常的に使われるCodex CLIも刷新されました。音声で指示を差し込める操作に対応し、あわせて/agentsビューで複数のエージェントに仕事を割り振り、進み具合を一覧で追えるようになっています。バグ修正・テスト追加・ドキュメント更新といった作業を並行して回す使い方が、標準機能として全プランに開かれた形です。
レビューとセキュリティを「自動の一次通過」に回す
人が見る前に機械が一度通す、という工程も増えました。
- コードレビュー: ChatGPTデスクトップアプリの新機能が、変更点にクラウド上で「自動の一次レビュー」をかけ、その指摘をGitHubのプルリクエストやGitLabのマージリクエストへ自動で返します。
- Codex Security Cloud: GitHubリポジトリを「オンデマンド/定期実行」でスキャンし、検出結果を精査し、重複を除いたうえで修正案まで用意します。こちらはPro / Business / Enterprise / Edu 向けです。
レビューと脆弱性対応という、これまで人手の負担が大きかった工程に、エージェントが下書きを差し込む位置取りです。
値札を5分の1にしたGPT-6.1 Solと、毎秒300トークンのUltrafast
これらを支えるのが新モデル「GPT-6.1 Sol」です。エージェント型コーディング・コンピュータ操作・専門業務で上位モデル「GPT-6 Astra」に迫る性能を、標準トークン単価の約5分の1で提供するとされます。ソフトウェア工学の難ベンチマーク「DeepSWE v1.1」では、Astra並みの精度を約5分の1のコストで出し、旧「GPT-6 Sol」の最良スコアを6.4ポイント上回ったと説明されています。APIではgpt-6.1-solとして当日から利用できます。
公表された料金(100万トークンあたり、API)は次のとおりです。出典に基づき再構成しています。
| 区分 | 単価(100万トークンあたり) |
|---|---|
| 入力 | $2 |
| 出力 | $10 |
| キャッシュ入力 | $0.10 |
キャッシュ入力は標準入力比で約95%安いとされ、反復の多いエージェント作業でコストが効いてきます。速度面では新設の高速ティア「Ultrafast」が、Codexで最大8倍(毎秒約300トークン)、API経由で最大6倍の生成速度をうたいます。待ち時間が縮むほど、エージェントに任せて放置する運用は現実的になります。
なお同日には、ChatGPTに常駐し目的に沿って24時間働く「dots」や、ChatGPTとCodexに機能を組み込む「Plugin Extensions」も発表され、エージェントを常時走らせる方向が全体として強まりました。
安く・速く・自走する裏で、点検の目をどこに置くか
開発の速度と単価は確かに下がります。一方で、常駐して自走するエージェントや、脆弱性を「見つけて直す」ところまで担う仕組みが広がると、誰がその判断を検めるのかという論点が残ります。自動レビューや自動修正は下書きとして便利ですが、それを最終判断とみなせば、機械が挟んだ誤りが人の確認を素通りしかねない、という懸念も指摘できます。またベンチマークの多くは提供元の公表値であり、独立した第三者検証はこれからです。値下げと高速化の競争が続くほど、費用対効果とあわせて「どこに人の点検を残すか」を運用設計に織り込む必要があります。
とはいえ、端末に縛られず走り続ける環境、声と/agentsで束ねる並列作業、レビューとセキュリティの自動一次通過という組み合わせは、個人開発者にもチームにも実務的な変化です。まずは限定したリポジトリで自動レビューやセキュリティスキャンを試し、人の確認を残す境界を決めるところから始めるのが現実的でしょう。
参照: ITmedia NEWS「OpenAIの『DevDay 2026』で発表された主なことまとめ」 / Unite.AI「OpenAI Unveils GPT-6.1 Sol at DevDay With New Codex and ChatGPT Tools」 / The Next Web「OpenAI releases GPT-6.1 Sol at a fifth of GPT-6 Astra's token prices」 / 9to5Mac「OpenAI makes 20+ announcements at DevDay event including always-on agents called dots」


