1トークン $1・速さ3倍──OpenAIが「安い相棒」GPT-6.1 TerraをCodexに積み、ただし「いちばん難しいコード」は別のモデルに回せと言い添えた
OpenAIがGPT-6.1 Terraを公開。入力$1・出力$5と前世代の約半額で3倍速、CLIコーディングの正答率は21.5%→50.3%へ。Codex・Copilotで使える一方、最難関コードは上位モデル推奨という線引きも。
OpenAIが2026年10月26日、新しいモデル「GPT-6.1 Terra」を公開しました。位置づけは最上位の頭脳ではなく、日常のタスクを安く速くこなす「普段使い」の層です。API料金を前世代の半分に下げつつ、ターミナル上で動くコーディングの正答率を2倍以上に引き上げ、ChatGPTのCodexからもすぐ使えるようにしました。開発者にとっては、エージェントを回すときの「1手あたりの単価と待ち時間」が変わる話です。
半額で3倍速の「普段使い」層
標準APIの料金は、入力100万トークンあたり$1、出力$5。OpenAIはこれを「GPT-6.1 Sol や GPT-5.6 Terra の約半額」と説明しています。キャッシュ済み入力はさらに安く、100万トークンあたり$0.05とされています。
| 種別(標準API・100万トークンあたり) | GPT-6.1 Terra |
|---|---|
| 入力 | $1 |
| 入力(キャッシュ済み) | $0.05 |
| 出力 | $5 |
出典の価格情報をもとに作成(BleepingComputer ほか)。GPT-6.1 Sol / GPT-5.6 Terra の約半額に相当。
速度も売りです。OpenAIによると、タスクの完了は GPT-6 Astra と GPT-6.1 Sol の3倍以上速いとされます。コスト効率では「GPT-6 Astra と同等の性能を、トークン単価では約10分の1で出す」と位置づけられています。推論能力を測る Agents' Last Exam では、中程度の推論強度で GPT-5.6 Terra を15ポイント上回りつつ、コストは約3分の1だったと報告されています。
CLIコーディングの正答率が2倍以上に跳ねた
開発者が注目したいのは、コマンドライン上でエージェントが作業する能力の伸びです。ターミナル操作を伴うタスクを測る Terminal-Bench 4.0 で、GPT-6.1 Terra は最大推論強度で50.3%を解きました。前世代の GPT-5.6 Terra は21.5%だったため、同じ「Terra」系列の中で倍以上に改善したことになります。
| Terminal-Bench 4.0(最大推論強度) | 正答率 |
|---|---|
| GPT-6.1 Terra | 50.3% |
| GPT-5.6 Terra | 21.5% |
出典: DataCamp / MarkTechPost。CLIで動くコーディングエージェントの難易度テスト。
誤り率の低下も報告されています。低い推論強度では53.6%から16.7%へ、最大強度では4.3%まで下がり、上位モデルである GPT-6 Astra や GPT-6.1 Sol の水準にほぼ並んだとされます。安いモデルでも、強度を上げれば「取りこぼし」を抑えられる、という設計です。
ChatGPT・Codex・Copilot・Bedrockから使える
入手経路は最初から広く用意されました。使える場所は次のとおりです。
- ChatGPT: Plus / Pro / Enterprise / Edu の各ユーザーが、ChatGPT Work と Codex から利用可能。
- API: モデルIDは
gpt-6.1-terra。 - GitHub Copilot: Pro / Pro+ / Max / Business / Enterprise で一般提供(段階展開)。
- Amazon Bedrock: 一般提供を開始。
とくにCodexとCopilotという二大コーディング環境に同時に載った点が実務上は大きく、既存のワークフローを変えずにモデルだけ差し替えて試せます。
エージェントの「回しっぱなし」コストが変わる
単価の引き下げと速度向上は、一発の応答よりも「エージェントを長く走らせる」使い方に効きます。コーディングエージェントは、ファイルを読み、コマンドを打ち、結果を見てまた打つ、という反復でトークンを大量に消費します。1手あたりが安く速くなれば、同じ予算でより多くの試行を回せ、CIやレビュー連携のような自動ループも現実的なコストに収まりやすくなります。入力キャッシュが安い点も、同じリポジトリを繰り返し読ませる作業と相性が良いといえます。
ただし「いちばん難しいコード」は任されていない
一方で、Terraを万能の置き換えと見るのは早計です。OpenAI自身が、最も複雑なコーディングには引き続き GPT-6.1 Sol か GPT-6 Astra を推奨しています。ベンチマークの数字が倍増しても、最難関タスクの主役は上位モデルのまま、という整理です。
運用面でも注意点が指摘できます。「1トークンが安い」ことは「1タスクが安い」ことを必ずしも意味しません。難しい問題に安いモデルを当て、推論強度を上げたり試行回数が増えたりすれば、結果的に割高になる場合があります。速くて安い層が増えたぶん、「どのタスクにどのモデルを割り当てるか」を選ぶ設計が、これまで以上に効いてくるとみられます。まずは日常的な修正やテスト、定型の自動化からTerraに寄せ、込み入った設計や難所は上位モデルへ──という使い分けが、現実的な出発点になりそうです。
参照: BleepingComputer「OpenAI launches GPT-6.1 Terra」 / MarkTechPost「OpenAI Launches GPT-6.1 Terra」 / DataCamp「GPT-6.1 Terra: Benchmarks, Pricing and Access」 / Nerdschalk「GPT-6.1 Terra ChatGPT & Codex availability」 / Developers Digest「GPT-6.1 Terra release guide」


