「見て・当ててクリック」をCodexがやめる──サイト自身が差し出す道具を呼ぶ『Site Tools』と、5ブラウザ対応

OpenAIが8月25日、CodexとChatGPT Workにブラウザ更新を追加。目玉は、サイト自身が宣言した道具を呼ぶ『Site Tools(WebMCP)』。画面を推測して操作する時代から、サイトがエージェントに機能を手渡す時代への転換を、対応ブラウザ拡大や課題とあわせて読み解きます。

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「見て・当ててクリック」をCodexがやめる──サイト自身が差し出す道具を呼ぶ『Site Tools』と、5ブラウザ対応

OpenAIが8月25日、コーディングエージェント「Codex」と「ChatGPT Work」にブラウザまわりの更新を加えました。目玉は、Webサイト自身が用意した「道具(ツール)」をエージェントが直接呼べるSite Toolsです。あわせて拡張機能の対応ブラウザを5種類に広げ、クラウド側ブラウザでのサインインも追加しました。

一見地味な更新ですが、根っこにあるのは「エージェントが画面をどう操作するか」という作法の転換です。

スクリーンショットで当てる操作から、宣言された道具を呼ぶ操作へ

これまでブラウザを操作するAIは、画面を撮り、要素の位置を推測し、マウス操作を模倣していました。DOMを読み違えれば誤操作になり、動作は不安定でした。

Site Toolsが依拠するのは、GoogleとMicrosoftの技術者がW3Cのコミュニティで進めるWebMCPという仕組みです。2026年2月に公表され、現在はChrome 149で試験提供(オリジントライアル)の段階にあります。

WebMCPでは、サイト側がJavaScriptの関数やHTMLフォームに注釈を付け、「このページでできること」をJSONスキーマ付きの道具として宣言します。エージェントは画面を推測する代わりに、宣言された関数をそのまま呼び出します。主導権が逆転し、サイトが「何ができるか」をエージェントに手渡す形です。

MCPとの違いも整理できます。通常のMCPは、エージェントとデータベースやAPIをつなぐ「縦」の配管でした。WebMCPは、目の前のWebサイトとエージェントをつなぐ「横」の層を担います。

今回Codexに載った3つの変更

更新は次の3点に整理できます。

変更点内容
対応ブラウザの拡大拡張機能がChrome・Microsoft Edge・Brave・Opera・Vivaldiの5種類で動作。設定はデスクトップアプリの「Settings > Computer Use」から。ただしOperaはサイドチャットに非対応。
Site Tools(サイト提供のツール)デスクトップアプリの内蔵ブラウザで、ChatGPT WorkとCodexがサイト提供のツールを利用可能。GPT-5.6 Sol/Terra が必要で、Lunaでは使えず、Enterprise/Eduワークスペースは対象外。
クラウドブラウザのサインイン対象プランで、クラウド側ブラウザから対応サイトへログイン可能。認証情報はチャットではなくサインイン画面に入力。クラウドのセッションは手元のブラウザと分離される。

Site Toolsが特定モデル(Sol/Terra)に限られる点、企業向けのEnterprise/Eduが外れている点は、無人・大規模の運用を考える際の前提になります。

開発者にとっての意味

作り手側の含意は明確です。自社サイトにWebMCPの注釈を加えれば、エージェントは推測ではなく宣言に従って操作します。誤クリックやハルシネーションが減り、エージェント越しの利用が安定します。

言い換えると、これからのWebサイトは「人が見る画面」であると同時に「エージェントが呼ぶAPI」になります。フォームやボタンに機械可読な意味を持たせる設計が、UI設計の一部として求められはじめます。

ビジネスへの影響

エージェントがサイトの機能を確実に呼べれば、予約・購入・社内システムの操作といった定型業務を任せやすくなります。画面依存で壊れやすいRPAを、宣言ベースの安定した連携に置き換えられる可能性があります。

一方で、普及はこれからです。WebMCPはChrome系での試験提供が中心で、ブラウザ横断の対応は2026年後半以降の目標とされます。Codex側のSite Toolsも内蔵ブラウザと特定モデルに限られ、当面は「使える場所を選ぶ」機能です。

ただし、まだ試験段階で、穴も指摘される

利便性の裏で、指摘される懸念もあります。サイトが道具をエージェントに開くということは、新たな攻撃面が増えるということでもあります。悪意あるページが不正なツールを宣言したり、プロンプトインジェクションで意図しない操作を誘発したりするリスクは残ります。

WebMCPは対策として、オリジンの分離や tools のPermissions Policy(既定は同一オリジンのみ許可)を設けています。クラウドサインインも、セッションを手元と分ける設計です。とはいえ、認証済みセッションでエージェントが動く以上、権限の設計と監査ログは運用側の宿題として残ります。

現時点では実験的な早期プレビューと捉え、決済や公開など影響の大きい操作には人の確認を挟むのが無難でしょう。

参照: ChatGPT & Codex changelogCodex Updates by OpenAI(Releasebot)WebMCP | AI on Chrome(Chrome for Developers)Chrome at Google I/O 2026

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