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削った文脈を、倍近くに戻す──OpenAIがCodexの既定コンテキストを272Kから500Kへ広げ、サブスクなら長文の追加料金をゼロにした

OpenAIがCodexの既定コンテキストを272K→500Kへ拡張し、最大1M、サブスク利用分は長文追加料金なしに。数週間前に自ら削った数字を巻き戻した格好だが、クォータ消費や検索精度への懸念も。

削った文脈を、倍近くに戻す──OpenAIがCodexの既定コンテキストを272Kから500Kへ広げ、サブスクなら長文の追加料金をゼロにした

コーディングエージェントにとって、コンテキストウィンドウ(一度に読み込める情報量)は作業中の記憶そのものです。ここが狭いと、長いセッションや大きなリポジトリでは早々に「古い話を忘れる」処理が走り、開発者は前提を説明し直す羽目になります。OpenAIはこの数字を、わずか数週間で削ってから、今度は倍近くに広げました。

既定が272Kから500Kへ、手動なら100万トークンまで

OpenAIは2026年10月12日、ターミナル型コーディングエージェント「Codex」と業務向けの「Work」で、既定モデル GPT-6.1 Sol のコンテキスト既定値を引き上げました。変更点は次のとおりです。

  • 既定値を272K→500Kトークンに拡張。初期設定のまま、より多くのコードと会話履歴を保持できます。
  • 手動で最大1M(100万トークン)まで引き上げ可能。巨大なリポジトリや長時間の自走作業向けの余地を残しています。
  • サブスクリプションから引く利用分には、長文の追加料金が発生しない。定額プラン内で広いコンテキストを使っても超過課金がかからない、という扱いです。

この変更は、OpenAIが10月5日に始めた「28日間の出荷スプリント」(毎日、明確な改善を1つ出すか、さもなければ全リセットを宣言する公開ノルマ)の7日目にあたります。スプリント初日(10月6日)には、GPT-6 Astra と GPT-6.1 Sol の既定速度を約5割引き上げ、毎秒30トークンから50トークンへ速めたと説明しています。

数週間前に削った数字を、自ら巻き戻した

今回の拡張は、直前の経緯を踏まえると意味合いが変わります。OpenAIは少し前、Codex上の旧既定モデル GPT-5.6 のコンテキスト既定値を372Kから272Kへ、約10万トークン削っていました。変更はGitHubのプルリクエスト(#34009)で入り、理由は公表されませんでした。

開発者からは不満が相次ぎました。既定が狭いと会話の圧縮(コンパクション)が早く始まり、長い作業で以前の判断が抜け落ちる、前提を貼り直す手間が増える、といった声です。コンテキストはエージェントの作業記憶である以上、狭さは「実作業よりコンテキスト管理に時間を取られる」状態を生みます。今回の272K→500Kは、その削減分を取り戻し、さらに上積みした形といえます。

ワークフローと財布への影響

実務への効きどころは二つあります。第一に、長時間・大規模の作業が途切れにくくなります。巨大なコードベースを横断する改修や、ノートPCを閉じても走り続けるような自走タスクでは、保持できる文脈が広いほどやり直しが減ります。

第二に、コストの見通しです。通常、超長文の入力には追加料金(ロングコンテキスト課金)がかかる場面がありますが、今回はサブスク利用分についてそれを取らないとされています。定額の範囲で広い文脈を前提にエージェントを組める点は、無人運用や常駐タスクを検討するチームには見逃せません。周辺ツールの追随も早く、エージェント基盤のひとつ OMP も10月12日版(v18.10.0)でCodexモデルの既定コンテキストを272Kから500Kへ引き上げています。

「広ければ良い」とは限らない

一方で、既定を広げることへの懸念も出ています。コミュニティでは、既定が大きいほど定額枠(クォータ)の消費が速くなりうること、そして文脈が長くなるほど必要な情報を取り出す精度がかえって落ちる場合があること(いわゆる「中間の見落とし」)が指摘されています。手動で絞れるとはいえ、初期値が広い分、意図せず多く食う可能性には注意が要ります。

数字の上げ下げが短期間で続いたことは、コンテキスト上限が提供側の都合で変わりうる変数だ、という現実も示しています。長いセッションに依存した運用ほど、既定値の変更に業務が揺さぶられないよう、明示的な上限設定やコンパクション方針を自分の側で持っておくのが安全です。

参照: 28 days of Shipping at OpenAI(OpenAI Developer Community) / OpenAI's Codex context reduction for GPT-5.6 sparks dissatisfaction(InfoWorld) / OpenAI quietly cut Codex context window(Eden AI) / AI Tools Changelog Hub(Gradually)