分身は別セッションへ、子タスクは手元に──Claude Code v2.1.212が「/fork」と「/subtask」に仕分けた並走の設計
Claude Code v2.1.212で /fork の意味が変わった。会話を複製して別のバックグラウンドセッションを立ち上げるコマンドになり、従来の「その場で子タスク」は /subtask へ。並走と委任を選べるようにした更新を整理する。
7月17日に配布された Claude Code v2.1.212 で、/fork というコマンドの意味が入れ替わりました。これまで /fork は「いまの会話の途中から子エージェント(サブエージェント)を、その場で走らせる」ためのコマンドでした。今回の更新でその役割は /subtask という別コマンドへ移り、/fork は「会話をまるごと複製して、別のバックグラウンドセッションを立ち上げる」コマンドに変わっています。名前は同じでも、開発者が手を動かす段取りに関わる変更なので、順に整理します。
同じ「枝分かれ」でも、走る場所が変わった
公式のチェンジログには、こう書かれています。/fork は「会話を新しいバックグラウンドセッション(claude agents に独立した行として現れる)へコピーし、その間もあなたは作業を続けられる。以前 /fork が起動していたセッション内サブエージェントは /subtask になった」。つまり、これまで一語に押し込まれていた二つの動作が、明示的に二本のコマンドへ分かれました。
/fork ── 本流を止めずに別セッションへ逃がす
会話の状態をそのまま複製し、独立したバックグラウンドセッションとして切り出します。切り出した先は claude agents の一覧に自分の行として並び、手元の会話は止まりません。「いまの流れは進めたいが、派生した調べ物や別案の検証も並走させたい」ときに、本流を離れずに枝を伸ばせます。
/subtask ── 手元のセッションの中で子に任せる
従来の /fork の挙動、すなわち同じセッションの内側で子エージェントを起動する動作を引き継ぎます。いまの作業の一部を切り出して子に解かせ、その結果を手元で受け取る、という「その場の分業」に向きます。
両者の違いを整理すると次のようになります。
| 観点 | /fork | /subtask |
|---|---|---|
| 走る場所 | 新しいバックグラウンドセッション | いまのセッションの内側 |
| 一覧での見え方 | claude agents に独立した行として並ぶ | 現在のセッションの中で扱う |
| 向く使い方 | 本流を進めながら別作業を並走させる | いまの作業の一部を子に切り出す |
「並走」と「委任」を、言葉のうえで選べるようにした
これまでは、枝分かれをさせたいときに「別セッションで独立して走らせたいのか」「いまの延長として手元で回したいのか」が一つのコマンドに同居していました。今回の分割で、開発者は作業を始める前にどちらの型かを選べます。長く走る探索や、失敗しても本流に影響を出したくない検証は /fork で別セッションへ。いまの文脈を強く引き継いで一部だけ任せたいなら /subtask で手元に、という具合です。
同じ v2.1.212 では、この並走を扱いやすくする周辺の変更も入っています。
- /resume に選択画面:エージェント表示で
/resumeと打つと過去セッションの一覧が開き、一覧から削除したセッションも含めて選べます。選んだものはバックグラウンドセッションとして再開します。誤って消した作業履歴を手元に呼び戻せる、という安全側の変更です。 - MCP呼び出しの自動バックグラウンド化:2分を超える MCP ツール呼び出しは自動でバックグラウンドへ回り、セッションが固まらなくなります。しきい値は
CLAUDE_CODE_MCP_AUTO_BACKGROUND_MSで調整・無効化できます。外部ツールの長い待ちで手が止まる場面を減らす狙いです。 - auto-mode reset:
claude auto-mode resetで自動モードの設定を既定へ戻せます(確認プロンプトつき、--yesで省略可)。設定を触りすぎて挙動が読めなくなったときの戻り道です。
実運用でどう効くか
実際の開発では、一つの本流を進めながら「別ブランチの調査」「別案の実装」「テストの様子見」を同時に抱える場面が増えています。/fork と /subtask の分割は、その並走を「別セッションに逃がす/手元で子に任せる」という二択に落とし込み、claude agents の一覧で走っているものを見渡せるようにしました。無人・自動で回す運用でも、派生タスクを本流とは別のセッションへ切り離せる余地が広がります。長い MCP 呼び出しの自動退避と合わせて、手元のセッションを止めない方向にそろえられているのが今回の特徴です。
便利さの裏で、気に留めておきたいこと
並走が手軽になるほど、「いま何本のセッションが、何をしているか」を把握しづらくなる面もあります。バックグラウンドへ逃がした作業は視界から外れやすく、走らせたまま忘れれば、そのぶんトークンの消費も静かに積み上がります。同じ v2.1.212 に、サブエージェントやウェブ検索の実行回数へ上限(既定200)を設ける変更が同居しているのは、この「並走の暴走」を抑える意図と読めます。並走の道具立てと歯止めはセットで考えるのが無難です、といった慎重さは持っておきたいところです。
とはいえ、変更の中心は誇張のない実務的なものです。枝分かれのたびに「別セッションか、手元か」を意識して選ぶ──その一手間を、コマンド名のうえで先に決められるようにした更新だと捉えるのがよさそうです。
参照: anthropics/claude-code CHANGELOG (v2.1.212) / Claude Code changelog(公式ドキュメント) / Releasebot — Claude Code Updates